第5回公認心理師試験の記録

第5回公認心理師試験に合格したので記録を残します。

公認心理師試験の特徴について

 前回は、受験までの8ヶ月間の学習ペース配分を記録しました。

 そのなかで、次のように書いた部分があります。

2022年3月:知識量と出題頻度とを突合させ、優先して勉強すべき分野を確認した。

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 今回は、この部分の補足を書きながら公認心理師試験の特徴について記録します。

公認心理師試験の特徴

 どのような資格試験でも「傾向と対策」が存在します。公認心理師試験も例外ではありません。

 試験勉強を開始するにあたり、公認心理師試験の特徴を自分なりに考えました。その結果、特徴は大別して3つあると判断しました。

  1. 合格基準点までは失点できる試験
  2. 事例問題の失点が不合格に直結する試験
  3. 出題傾向が明瞭な試験

 それぞれ書いていきます。

1.合格基準点までは失点できる試験

 身も蓋も無い表現なので嫌な顔をする人も多いでしょう。*1

 しかし、とにかく満点でも合格基準点でも等しく合格です。合格者順位はつけられないし補欠合格もありません。だから高得点を目指す必要はありません。

 私は学習を始めるにあたり、合格基準点を161点(70%)に設定し「69点は間違えても良い」と考えるようにしました。

2.事例問題の失点が不合格に直結する試験

 公認心理師試験には、2種類の問題があり配点が異なります。

・知識問題:1点

・事例問題:3点

 事例問題を間違えると知識問題3つ分のダメージをもらいます。

 先ほど、私は「69点は間違えても良い」と考えた、と書きました。

 この69点は、単純計算で事例問題を23問間違えるとギリギリになります。しかし、知識問題で満点なんか取れっこないので、実際はもう少しシビアになります。

 そこで、私は最終的に次のように失点の許容範囲を設定しました。

・知識問題:39問まで失点可能

・事例問題:10問まで失点可能

 細かな数の設定には個人差が生じても、事例問題の失点は最小限に抑えるべきという点は共通していると考えます。*2

3.出題傾向が明瞭な試験

 入学試験でも資格試験でも必ず出題傾向が存在します。そして、出題傾向に応じた対策が必要となってきます。

 公認心理師試験の過去問を見ていくうちに、以下の4パターンは出題されやすいと感じました。

  1. 公認心理師の制度設計にかかわる問題*3
  2. 過去問を応用させた問題
  3. 心理相談で高い比率を占める項目の問題
  4. 社会的に関心を集める項目の問題

 実際に第5回試験でも、これら全てが当てはまる問題が複数出題されました。例として問23を挙げます。

第5回試験 問23「BPSD」について

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問23 認知症の行動・心理症状[behavioral and psychological symptoms
of dementia〈BPSD〉]について、最も適切なものを 1 つ選べ。

① 生活環境による影響は受けない。
② 前頭側頭型認知症では、初期からみられる。
③ 治療では、非薬物療法よりも薬物療法を優先する。
④ Alzheimer 型認知症では、幻視が頻繁にみられる。
⑤ 単一の妄想として最も頻度が高いのは、見捨てられ妄想である。
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 解説は割愛しますが正答は②です。

 この問題は失点を避けるべきでした。理由は次の通りです。

1.公認心理師の制度設計にかかわる問題
 →5領域の1つ「福祉」の問題である。

2.過去問を応用させた問題
 →BPSDは過去にも幾度か出題されている。

3.心理相談で高い比率を占める項目の問題
4.社会的に関心を集める項目の問題
 →BPSDの多くはケアする側が困る症状。BPSDが発現してから相談に来るケースも多い。

 このような問題は他にも出題されており、同様に失点を抑える必要があったと考えます。

終わりに

 試験の理念や出題傾向を調べず試験勉強を始めるのは、装備も持たずに海へ漕ぎ出すようなものです。

 待っているのは確実な遭難です。

 試験の理念や出題傾向は、以前に紹介した河合塾KALSの赤本や季刊誌 『公認心理師』など多くの本で分析されています。また、本だけでなく大会や対談などでも問題提起がなされています。

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 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」は現代でも通用する話だと思います。

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*1:私も思うところは色々ありましたが、受験者として優先すべきは試験制度に関する議論ではなく試験に合格することだと割り切りました。

*2:なお、本番で間違えた数は、知識問題が43問で事例問題が9問だったので、まあまあ狙い通りだったと考えています。

*3:公認心理師法だけでなく、福祉や教育などの5領域も該当すると考えます。